危機管理広報

プロの目② 事例から見る危機管理広報

危機管理広報において重要なのは、他社事例を知ることです。ニュースになったり話題になったりしている他社事例から、メディアや世間の人々が企業のどのような対応・姿勢に注視しているのかをうかがい知ることができます。そのうえで、自社の体制を顧みることが、平時から取り組める危機管理広報の一環です。
 今回は最近の事例を挙げて、そこから学びを得る重要性を考えてみます。

SNS画像

ここ半年で特に大きく注目された事例として思い浮かぶのは、大手牛丼チェーンの役員による不適切発言問題。詳細は割愛しますが、問題となった発言は「女性蔑視だ」「自社製品を侮辱している」などと批判を集めました。
 この発言は早稲田大学の社会人向け講座内で講師をしていた当該役員が発したもので、講座後に受講者が SNS に問題視する投稿をしたことで注目を集めました。おそらく記者会見や取材対応の中では、このような発言はしなかったことでしょう。社会人向け講座というクローズな場であったことも、この事例が起きてしまった要因のひとつだと考えます。
 このように、トップによるクローズドな場での不適切発言が、後に報道や SNS への投稿で外部に拡散した例は他にもあります。

近年批判を集める事例が多数続いたことから、ジェンダー問題への危機意識は、広報担当者の多くがしっかりと持っていたことでしょう。しかし、発言の場まで意識して危機管理に取り組めていた企業は、そう多くはないのではないでしょうか。この事例が起きたあとから、「トップに危機意識を持ってもらいたい」とセミナーなどの実施をご要望いただくことが、従来よりもさらに多くなりました。

このように、他社での事例を知ることは、広報担当者の危機意識をアップグレードするために非常に有効です。弊社では、毎日のニュースチェックの中でクライアントの参考になりそうなものをピックアップし、事例化しています。
 皆様もぜひ、「自社の体制・対応ではどうなるだろうか」という視点で日々のニュースをチェックしてみてください。

2022/08/15