危機管理広報

プロの目⑰ 油断は禁物、謝罪会見時の苦笑い

 今年もあと3週間余り。「宝塚歌劇団の会見」、「ジャニーズの会見」、「ビッグモーターの会見」、「日大アメフト部違法薬物事件の会見」など、世間を騒がす多くの謝罪会見がLIVEでテレビやネットで放映されました。会見での言動はもちろん会見者のアピアランス1つにも世間が注目します。何を伝えるために開かれた会見なのか、企業側の都合として弁明だけが述べられていないかなど、厳しい目も向けられます。
 報道によると「フェニックス(不死鳥)」の愛称を持ち、日本選手権を4度制している日大アメフト部は廃部を決めたようです。、少なからず「違法薬物事件の会見」後の混乱の影響もあったのではないかと思います。

 謝罪会見の目的は、謝罪すべき対象にメディアを通してまとめてお詫びし、反省の意を述べるとともに自社の立場、考えを効果的にステークホルダーに伝達することです。また謝罪会見を通して、自社への信頼回復につなげることも目的に挙げられます。
 会見でよく目にするのはつい苦笑してしまう会見者の姿です。これはいわゆる緊張型笑いなのでしょう。不快な感情や状況に直面したときに、それを和らげるために無意識に笑ってしまう笑いです。自分の感情を抑えたり、相手の感情を和らげたりするための防衛反応です。苦笑する姿は、格好の批判対象となりニュースやSNSでも取り上げられ、「謝罪会見で笑っているよ」などと批判され、会見で述べた反省の弁を台無しにしてしまう事例も散見されます。

 では、どういう対応をとればよいのでしょうか?先ずは会見者ご本人に気が付いてもらうことが第一です。エイレックスが経営層や幹部クラスを対象に、新聞社の社会部出身のスタッフや企業広報経験者らが記者役となるリアリティーのある模擬記者会見トレーニングでも、答えにくい質問や、想定していない質問をされた時、無意識に苦笑される姿が多く見られます。模擬記者会見や会見リハーサルを行い、その内容を動画撮影し、登壇者自身にその姿をご覧いただくことが重要です。姿勢・表情・声のトーンはもちろん、癖にも気が付いていただきます。そのためには、模擬会見や会見リハーサルにおいては本番さながらな状況や厳しい質問をぶつける必要があります。社内での実施では本番さながらな状況や緊張感を作り出すことはできないということであれば、外部の第三者のサポートを受けることも検討してみてください。

(2023/12/15)