危機管理広報

プロの目⑱ 社内で不祥事が発覚した際の広報対応

 社内で不祥事が発覚したり、事件・事故が発生したりした場合、①事実関係の確認、②広報対応方針の決定、③決定した方針に基づいた広報対応(記者会見、リリース発表、個別対応)という流れで対応することになります。また、事件・事故の場合は、すぐにメディアから広報部門に問い合わせが入る可能性がありますし、社内で発覚した不祥事であっても正式に発表前に情報が漏れ、メディアから問い合わせが入る可能性がありますので、対応方針が決まる前や正式な発表前にメディアから問い合わせが入った場合のコメントも用意しておく必要があります。

・事実関係の確認
 不祥事が発生した場合、社内のしかるべきルートで発生部門から危機管理を所管する部門に情報が上がり、広報部門にも情報が共有され、対応を検討するというのが比較的多いパターンではないかと考えます。したがって、広報部門が直接、関係者に情報収集をするというケースは多くはありませんが、事実関係や影響を正確に把握することは、その後の広報対応において非常に重要です。発生部門から上がってきた情報を鵜吞みにせず、広報としてもしっかりと確認すべきです。また、発生した問題について会社にどのような非があるのか(例えば、法令違反なのか、倫理的に問題があるのか)についても正確に理解しておく必要があります。

・広報対応方針の決定
 必要な情報を確認した上で、対応方針を決定します。決定すべき内容はおおよそ次の項目となります。①公表するかしないか、②公表する場合、どのような方法(記者会見、プレスリリース、HPにコメントを載せるのみ)にするか、③公表時期、公表するメディアの範囲、(記者会見の場合は場所、登壇者)、④公表内容、⑤メディア以外のステークホルダー対応。
また、対応方針が決まる前や正式発表前の記者から問い合わせに備え、一時的に出すコメントや報道が先行した場合にどのような対応をするべきか決めておく必要があります。

・決定した方針に基づいた広報対応
 記者(謝罪)会見を開く場合は、会見での説明資料(リリース)、Q&A、会見冒頭に登壇者が読み上げるお詫び原稿、司会原稿を含めた進行台本、登壇者の席順表などを準備します。ある程度準備が整ったら、記者会見のリハーサルを行います。特にQ&Aはしっかり作ったと思っても質疑応答をしてみると違和感があったり、適切な回答でなかったりする場合がありますので、弁護士や広報コンサルタントなど外部のアドバイザーも入れて複数回行うことをお勧めします。

エイレックスでも、実際に謝罪会見前のリハーサルを依頼されることがままあります。実際に本番を想定して話すことで、登壇者は事案の内容や説明すべきこと、謝罪するポイント等の整理ができるという点が大きなメリットです。そのため、謝罪会見本番後。ほとんどのケースで「リハーサルをしておいてよかった」という感想をいただきます。